【続】隣の家の四兄弟

「いらっしゃい」
「……こんばんは」


リビングに入ると、そこは昨日までと何も変わらない綾瀬家だった。
孝四郎くんはソファで本を読み、三那斗はダイニングテーブルで課題をやってるみたい。

聖二は……まだ、仕事か。


「ちょうど夜ご飯できるから。一緒に食べよう」
「え?あ、すみません」
「え?美佳?!わー最近毎日のように来てくれて僕うれしいなぁ」


私の存在に気付いた孝四郎くんが、読みかけの本を閉じて駆け寄って来る。


「あ!美佳!ちょーどよかった!お前、コレ終わった?」
「え?ああ、一応」
「マジ!ちょっとここ、教えて」


集中していた三那斗も、周りの声に気付いて私を確認すると、いつもと変わらない様子でそう言った。


「あー……そこは……」


三那斗にたどたどしく教えてどうにか課題を終わらすと、同時に浩一さんが食事を運んできてくれた。


「ねぇ、美佳なんかあったの?元気なくない?」
「オレも思った!今日ガッコでもそんなだったな」


向かいに座る三那斗と孝四郎くんに言われて視線を下げる。
浩一さんは事情を知っていたけれどなにも言わなくて。

それから、少し間を置いて私はチハルのことを口にした。


「えっ……!」
「うそだろ?!んな急に?!」


チハルが帰ってしまったことを知った二人は、想像通りに驚いていた。

そりゃそうだよね。
突然現れて、いつの間にか私たちの空気に馴染んでたチハルが、忽然と居なくなってしまったんだもん。

しん、としたリビングでは、誰もなにも発さない。
すると、ガチャリと玄関から音がした。

< 281 / 286 >

この作品をシェア

pagetop