【続】隣の家の四兄弟

その質問に、なぜか聖二は歯切れ悪い様子で明確なことを言わない。
首を傾げてみていると、奥に立つチハルが笑って答えた。


「Ha-ha!先にセイジだけ知ってたんだよ。ぼくがミカの家を出て行くのをね」
「バカ、それ言うなっ……」
「『美佳の家から早く出ろ』って脅されちゃったからね~」


な……なんですと?


「お、脅され……?」


思わず物騒なその単語を口にすると、チハルは私を見てケラケラ笑いながら補足する。


「そー。あの目は本気だったね。だからぼく、引っ越した」


『我慢できない』

聖二が言ったことを思い出し、チハルから聖二に視線を移すと、聖二は片手で顔を覆ってノックアウト寸前だった。


……聖二って、こういうところあるんだ。なんかチハル来てから新境地。新鮮。
――うれしい。


「でも、携帯繋がらなかったけど……」
「あ。ケータイ!充電なくなってたんだネ。引っ越しに手いっぱいで」
「引っ越しって、どこに?」


私が聖二のことでいっぱいになっていると、浩一さんがチハルに聞く。
すると、チハルじゃなくてアキラがそれに即答した。


「あそこよ」


長い髪を靡かせて、窓側へと歩を進めるとカーテンを開けた。
そして正面のマンションを指さして振り向く。


「あのマンションに、わたしとチハルで住むことにしたのよ」
「はぁ~?!」
「はあ?!」


三那斗と孝四郎くんが同じリアクションをとる。
かくいう私も、心の中で全く同じリアクションだ。
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