製菓男子。
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パンドミーの発酵時間が長いからか、それとも篠塚さまの話が長かったからか、授業を終えたのは四時半を回っていた。
一階へ戻ろうと階段を下りると、酒造の前を歩くツバサが見えた。
その足取りは枷がついたように重く見える。
今回もうまくいかなかったのだろうか。


店舗に入ると藤波さんが帰り支度をしていた。
まだ店には品物が残っていて、閉店には早い気がする。


「どうかした?」
「それがさ、エイタから電話がかかってきて」


どうやら店の電話に藤波から連絡があったようだ。
体温を測ったら三十八度を超えていたらしい。
藤波は体育会系の身体つきをしているくせに、痛みと熱に弱く大袈裟にする。


「薬飲んで寝てたら?」
「俺もそう思う」


藤波さんは車の免許を持っているわけではないし、看護士などの資格を持っているわけでもない。
世話をするなど、まるで母親のような役目を藤波さんに求めているような気がする。


「たぶん、というか、なんとなくなんですが、兄は風邪が大きらいなんです」
「すきな人いるの?」


僕の質問に「そうですよね」と藤波さんは笑顔を見せたが、溜め息を落とすと顔を曇らせた。
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