製菓男子。
(これじゃ仕事にならないよ。わたしがもっとしっかりできればいいのに)
目頭が熱くなってきたけれど、目の前には新たなお客さんが立っている。
人ふたり分くらいの太った男性客だ。
後ろに並ぶ女性が窮屈そうにしている。
その男性客のカゴの中身はクロッカン、バーチ・ディ・ダーマ、フロランタン。
すべて宮崎さんが焼いたものだ。
今宮崎さんは教室にいて、生徒さんにケーキを教えている。
宮崎さんの作業姿は、まるで陽だまりのようだと思う。
寒い日の縁側みたいな、うたた寝する午後のような、あったかい光を纏っている。
思い出しただけでも、うっとりする光景だ。
(大切に食べられて欲しいな)
そう思って差し出されたかごを受け取りながら顔を上げ、「いらっしゃいませ」と伝える。
コミュ障の名残で人と目をあわせることが苦手だから、視点をぼやかして見るようにしている。
次にレジに値段を打ち込んで、合計金額を注げた。
お客さんは財布からお金を取り出しながら、挨拶を交わすような気軽さでわたしに話しかけてきた。
「若葉神社に行きたいんだけど、教えてくれないかな?」
あたりの地形はほとんど変わっていないけれど、わたしが引きこもっている間に新しいお店が数店オープンしていたり、逆に更地になっていたりする場所もあってわからないこともある。
そういう浦島太郎風であるわたしはやはり、頭に叩き込んでいるマニュアルに頼るしかない。
目頭が熱くなってきたけれど、目の前には新たなお客さんが立っている。
人ふたり分くらいの太った男性客だ。
後ろに並ぶ女性が窮屈そうにしている。
その男性客のカゴの中身はクロッカン、バーチ・ディ・ダーマ、フロランタン。
すべて宮崎さんが焼いたものだ。
今宮崎さんは教室にいて、生徒さんにケーキを教えている。
宮崎さんの作業姿は、まるで陽だまりのようだと思う。
寒い日の縁側みたいな、うたた寝する午後のような、あったかい光を纏っている。
思い出しただけでも、うっとりする光景だ。
(大切に食べられて欲しいな)
そう思って差し出されたかごを受け取りながら顔を上げ、「いらっしゃいませ」と伝える。
コミュ障の名残で人と目をあわせることが苦手だから、視点をぼやかして見るようにしている。
次にレジに値段を打ち込んで、合計金額を注げた。
お客さんは財布からお金を取り出しながら、挨拶を交わすような気軽さでわたしに話しかけてきた。
「若葉神社に行きたいんだけど、教えてくれないかな?」
あたりの地形はほとんど変わっていないけれど、わたしが引きこもっている間に新しいお店が数店オープンしていたり、逆に更地になっていたりする場所もあってわからないこともある。
そういう浦島太郎風であるわたしはやはり、頭に叩き込んでいるマニュアルに頼るしかない。