製菓男子。
塩谷さんはおそらく、わたしが小学三年生のときに起こったことを言っているのだろう。





<夜空を突き破るような悲鳴が沸き、一方通行のように流れていた人々の足並みが縦横無尽に逃げ惑う。

なにが起こったのかと戸惑っている間に、血の色のような赤い車が突っ込んできたのがわかった。

自分に向かっているようでいて、わずかにそれていたけれど、目線の先に、自分より小さな子供がいたんだ――――>





若葉夜祭りが行われたあの日、事故にあったその男の子と手が触れてしまったことで見えたものだ。


これ以上のことを思い出すのを、身体が拒否している。
けれど脳だけは覚醒しきっていて、続きの映像を網膜の裏側に映し出してしまう。
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