製菓男子。
「母の研究によりますと、ポルボロンは究極だそうですよ。“人の心をほぐすだけじゃなくて、食感までほろほろほぐれるようで、その上幸せのジンクスまでついている。そんな状況でチヅルが食べた人の手に触れたら、絶対に幸せな未来しか映らない。将来チヅルを義父とは違った幸福占い師にして、生活に困らないくらいのお金が稼げるようになるといいんだけど”―――そう、ノートに書いてあったんです」
母にはわたしがニートになる未来を見抜いていたに違いない。
アンティエアーで働く機会がなかったら、事実そうだったろうし、父や兄の厄介者になる日々が続いていただろう。
「あと、わたしが見る未来は、その人や周囲の人の人生を決断させる影響を与えるそうです」
占い師としてその能力を駆使していたおじいちゃんのこともノートには克明に書かれていた。
母はおじいちゃんが亡くなってから、頻繁に通ってもいたらしい。
父が母に切り出した離婚、同級生が亡くなった大事故、わたしが変質者に襲われたこと。
思い起こせばだけれど、それは両親に、同級生たちに、兄やわたしにどんなかたちであれ、母の言葉どおりに大きな影響を与えている。
わたしが見た塩谷さんの未来も、ヒロヒサくんの未来も、荒川さんの未来も、もしかしたらそうなのかもしれない。
「“大きな決断はそうそう、毎日あるものじゃないから、きっとチヅルが手に触れるタイミングは神さまが決めてるんじゃないか”って」
宮崎さんをふと見てしまう。
宮崎さんは謝るわたしに、わたしの体質は「神さまのせいだ」と言った。
だから気に病むなと。
宮崎さんはわたしの視線に気づくと、空気がたっぷり含んであるシフォンケーキみたいにやわらかく笑ってくれた。
母にはわたしがニートになる未来を見抜いていたに違いない。
アンティエアーで働く機会がなかったら、事実そうだったろうし、父や兄の厄介者になる日々が続いていただろう。
「あと、わたしが見る未来は、その人や周囲の人の人生を決断させる影響を与えるそうです」
占い師としてその能力を駆使していたおじいちゃんのこともノートには克明に書かれていた。
母はおじいちゃんが亡くなってから、頻繁に通ってもいたらしい。
父が母に切り出した離婚、同級生が亡くなった大事故、わたしが変質者に襲われたこと。
思い起こせばだけれど、それは両親に、同級生たちに、兄やわたしにどんなかたちであれ、母の言葉どおりに大きな影響を与えている。
わたしが見た塩谷さんの未来も、ヒロヒサくんの未来も、荒川さんの未来も、もしかしたらそうなのかもしれない。
「“大きな決断はそうそう、毎日あるものじゃないから、きっとチヅルが手に触れるタイミングは神さまが決めてるんじゃないか”って」
宮崎さんをふと見てしまう。
宮崎さんは謝るわたしに、わたしの体質は「神さまのせいだ」と言った。
だから気に病むなと。
宮崎さんはわたしの視線に気づくと、空気がたっぷり含んであるシフォンケーキみたいにやわらかく笑ってくれた。