製菓男子。
「わたしは宮崎さんに触れて、ここにリコちゃんが来る未来が見えました。たぶんこれは、宮崎さんが今なにかを決断するタイミングなんだと思います。そしてわたしは今、猛烈にリコちゃんの手に触れたくて。もしかしたらわたしがこれから見る未来は、リコちゃんの人生を左右するのかもしれなくて―――無理じゃないんですけど」


自信を持って「今日は月曜日じゃないから不幸は見えない」と言いたいところなのだけれど、どうしても言葉が尻すぼみになってしまう。


「ぼくじゃなくて、リコがいいんですか?」
「たぶん、ですけど。ツバサくんは大きな決断を、もう昨日で、したんじゃないかなって―――思うんです」
「それはちょっと当たりかも」


リコちゃんを見つめるツバサくんの目はやさしい。
ツバサくんたちはじっと見つめあって、ゆっくりと確認するようにリコちゃんが頷いた。


「あの、じゃあ、お願いしても、いいですか?」


わたしはスツールに座っているリコちゃんと同じ視線になるくらいの膝立ちになって、その手に触れる。
リコちゃんの手はひんやりとしていて、手の冷たい人は心があたたかいんだっけと、そんなことを思い出した。


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