製菓男子。
「わたしの表情って、犯罪なんですか?」


わたしはそんなに凶悪な顔をしているのだろうか。


でもこの映像は、宮崎さんを通して見えたものだ。
わたしはまた見てしまった。
宮崎さんの、少し先の未来を。


「ああ、ごめんなさいっ!」


宮崎さんはわたしの手を掴んでいて、それを振り払―――おうとしたのだけれど、びくともしなかった。


「あのっ、またっ、見ちゃいますから!」


上下に揺すってみても手が離れてくれない。
宮崎さんはわたしの手をねっとり掴んで、引っ張った。


「濡れちゃうでしょ」


勢いあまってわたしは宮崎さんの胸に飛び込んでしまった。
その反動で宮崎さんの手から傘が零れて落ちた。


「あの、また見ちゃいますからっ」
「今も見える?」


わたしの手を宮崎さんは自分の口もとに持っていき、キスをした。
淡く触れるように、手の甲に。


「見える?」
「見えない、です、けど」
「じゃあ、ずっと、見えるわけじゃないんだ」


頭がぐるぐるする。


この状況って一体なんだ? 
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