製菓男子。
藤波はまるで過保護な父親のように、妹に近づく男、それだけではなく女でも、あらゆる手段を使って排斥しようとしていたような話を以前していた。
もとから喧嘩っ早いこともあったのだろうが、それが暴力に向かって、傷害事件を起こしそうになったことも事実あった。


「だから救出?」
「母親は離婚して家出てったし、父親は不在しがちで、オレとチヅルのふたりで生活してきたようなもンでさ。だから、妙な依存感がオレの中で生まれちまったンだよ。もし血繋がってるっていう一線がなかったら、超えちまってたかもしンない。依存つーもンが独占欲に代わってったンだろうな」


そこで話を一旦区切った藤波は「行こう」と言うので、あとに続いて二階へ向かう。


「だからオレ、チヅルに携帯とかパソコンとか、そういった外部に接触する手段を持たせなかったンだ。自分で進んでやってることだと、チヅルは思ってるのかも知ンねーけど、そんなことはなくて、オレがそう仕向けたってーか。そこからの“救出”って感じかな。“脱出”のほうが正しいかもしンないけど。自分でも、異常なのわかってたから、ミツキがバイトの話を持ってきたとき、渡りに船だと思ったンだ」


わるいことしたなぁと、藤波はもう一度唸る。


「最後の最後で渋っちまったな」
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