製菓男子。
「ねえおねえちゃん、どうしてイチゴジャムにしたの?」
「それは、ヒロくんのお母さんが、一番すきなジャム、だから」
「おねえちゃんはお母さんのこと知ってるの?」


藤波さんは困ったように眉を下げて、その質問に答えない。


「仲直りできるといいね」
「うん!」


少年の質問は的を射ていたし、当然湧く疑問だろうと思う。
藤波さんの言い方だと、季節に問わずイチゴジャムを用意していたことになる。
知り合いではないのに、それがわかる理由はなんだろうか。


しかも、不可解なことはそれだけではない。


少年は「許してもらえない」と言っていたことを、僕も覚えている。
しかし彼女の言う「仲直り」という発想を僕は持っていない。
< 39 / 236 >

この作品をシェア

pagetop