製菓男子。
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こどもの日本番の午前は、やはり品物の動きが鈍い。
けれど昨日少なめに作ったからか、普段と変わらないくらい空き籠が目立ちはじめている。
教室の準備をするのにも時間がまだあるのでクッキーを焼くことにする。
クッキーなら早いもので、三十分くらいで作れる。
昨日の残りの大納言と抹茶を使ったドロップクッキーを作ることにした。
作業台で向かいあうミツキが「和菓子屋さん意識しすぎだぞ」と笑っている。
ミツキはタルト生地を作っているようだった。


僕とミツキは分担なんてものはなくて、それぞれすきなものを焼いて、すきなように売っている。
採算などはよくわからないから、プライスカードはミツキに一任だ。


お互いにケーキもマフィンも焼くし、たまに同じものを作ってしまうが、絶対にミツキはクッキーを焼かない。
理由を以前聞いた気がするが、なんとなくしか覚えていない。


「すいません、高橋さまがいらっしゃったんですけど」


レジからひょっこり顔を出した藤波さんの後ろには、奇抜な格好をしたツバサがいる。
性別を隠すように長い金髪のカツラをつけて、絵本に出てくる童話の主人公のような、ひらひらした格好をしている。


「ちょっと待ってて。ゼン、焼けてる?」
「うん、焼けてる。けど、今日早い」


いつもは一時すぎに来るらしく、その姿を直接見るのは初めてに近い。 
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