ミリオンラバー
「用がないならさっさと戻れよ」

小暮は犬を追い払うように手をひらひらと振った。

「小暮君は何したい?」

「は?」

「文化祭だよ!もうすぐなんだよ。さっきクラスの出し物決めてたの」

何がいいかな?柚羽はもう一度聞いた。

「知るかよ。そんなこと。俺には関係ねえよ」

「大丈夫大丈夫!何か言ってみてよ」

「何が大丈夫なんだよ!」

「いいからいいから。何か好きな物言ってみて」

「うるせーな。ないよ。好きなものなんて」

「何でもいいから!お願い!」

「うるせーな!近寄るなよ!」

ズイズイと顔を寄せてくる柚羽に小暮のほうが負けた。

< 14 / 104 >

この作品をシェア

pagetop