姫はワケあり黒猫様
フシャ……
『ん…』
首筋にくすぐったい何かが触って身をよじる。
薄く目を開けると、目に入ったのは黒いモサモサ。
『………』
私を抱き上げるような体制で寝ている、コイツ。
玲。
『…………
何で居るんだよぉぉぉおお‼』
「……るせぇな…」
『はぁ?!』
玲は唸ってから薄く目を開けて私に目を向ける。
『ちょ、何で私のベッドにーーー』
「……落ち着くから」
『にゃにぃ?!』
変なことを言う玲を引っ掻くも同然のように腕に爪をたてる。
『もー、何でー』
「なんでも」
『うっさい‼』
頭を軽く(?)叩くと玲は一度閉じた目を開けて私を睨み付けた。
『今日テストだし、早く出ないと』
ポツリとそう呟くと、玲はいつもと同じ様に目を開けて服を脱ぎ捨てた。
『んにゃぁぁああ?!』
「うるせぇ。
まだ7:00なんだから近所迷惑だ」
『ふ、ふ、服を着ろぉぉおお‼』
「今着るじゃねぇか」
私の前で平然と下着姿になり、傍に置いてあった制服を着だす玲。
お前に羞恥は無いのか?!
布団をガバッとかぶって『あぅ、あぅ~…』とか自分でも意味のわからない言葉を発する。
「終わったぞ」
そう言われて顔だけ出して玲を睨みつける。
『女の子の前で…』
「別にいいだろ?」
『……』
呆れて物も言えない。
『……はー…私も着替えるから…』
「あぁ」
クローゼットから制服を取り出して後ろをまた向く。
でも、玲は一向に出る気配を感じさせない。
『……』
「…サッサと着替えろよ」
『出てけぇぇぇぇええええ‼』
立っていた玲の膝を蹴ってその勢いのまま外に出す。
……面倒な奴。
溜息を吐きながら制服に着替えた。