あなたが教えてくれた世界



     *   *   *




それが聞こえてきたのは、四人の騎士がまだ作戦を練っているときの事だった。


「悲鳴……?」


夜を裂くような、甲高いその音に、真っ先に反応したのはカルロだ。


話していたハリスの方から目を離し、聞こえてきた方向──屋敷に、顔を向ける。


ハリスは口を止め、イグナス、ブレンダも怪訝そうにする。


ぱっ、と、オリビアが立ち上がって、呆然とした表情で呟いた。


「アルディスが……、アルディスが、泣いてる……」


「……?」


彼女の言葉を受け、騎士達はますます怪訝そうにする。


「あの悲鳴が、アルディス様の……?」


落ち着けるようにゆっくりとハリスが問うと、オリビアは慌てたように振り向いた。


「間違いない……!あれは、アルディスよ……!あの子、泣いてる。危険だわ……!!」


その表情を見て、すぐさまハリスは決意する。


「……わかった。皆、作戦会議は中止だ。事は急を要する。おおむねの動きはこれまでに伝えたようにして、屋敷に突入する。アルディス様を、奪還する」


「はっ!」


一行の司令官であるハリスの指示に、三人の騎士は機敏に反応した。


すぐさま立ち上がり、各自武器や剣を装備しながら、愛馬のもとへ向かう。


ハリスはそれを横目で見送りながら、未だ呆然とした様子のオリビアに歩みより、そっとその肩を支えた。



< 194 / 274 >

この作品をシェア

pagetop