あなたが教えてくれた世界
「……アルディスが、危険なの」
顔をハリスの方に向け、しかし視線は不安定に彷徨わせながら、オリビアは戯言のようにそう言う。
「リリアスはあんな声をあげないの。あれはアルディスの叫びなの。だから──だから──」
「オリビア、落ち着いて。どういうこと?」
ハリスは一旦強めに遮り、オリビアの双眸を覗き込む。
「……大丈夫だから」
ゆっくり、言い聞かせるようにそう言うと、青ざめていた彼女の顔に少しだけ生気が戻る。
そして、先程よりいくばくかしっかりした声で、彼女は話し出した。
「……リリアスが、崩壊したか暴走したか……わからないけれど、今のあの子は、パニックを起こしたアルディスよ。前の晩餐会の時から様子はおかしかったの。彼女の中に変化が起きている。そしてもしリリアスの人格が暴走したのだとしたら──彼女は、アルディスを、殺そうとするかもしれない」
「……」
ハリスは、言葉が見つからなかった。
淡々と語られる彼女の言葉が、もし本当だとしたら……アルディスに害意をもつ者のもとで、不安定な状況になってしまうのはよくない。非常によくない。
「……わかった。急ぐ」
ようやく硬い声でそう言うと、オリビアの瞳が揺れた。
「私は……」
「君はここで待ってて」
彼女の言わんとしていることを察し、先回りして遮る。
「アルディス様は、僕たちが必ず救い出すから。だから、
……だから、オリビアは僕たちを信じて、無茶はしないで待っていて」