あなたが教えてくれた世界
そこからは、四人とも足音をたてないようにして慎重に進んでいった。
が、気味の悪いほどに、敵はおろか使用人の気配すらない。
(おかしい……)
全員が、その異様な雰囲気を肌で感じていた。
必ずしも敵であるという確証はなかったが、ここにきて、この判断が正しかったことを悟る。
と──。
ギン!
突如、物陰から人影が躍り出て来て──その刀を受け止めたのは、先頭にいたハリスではなく、察知して咄嗟に前に出たイグナスだった。
鋭い音が、辺りに響く。
そこに、もう一人。反対側から飛び出て、剣を突き合わせて身動きのとれないイグナスに襲いかかる。
イグナスは力で剣ごと一人目を押し返し、無駄のない動きでもう一人の動きも防いだ。
後ろの三人にも、緊迫した空気が走る。
二人の敵とイグナスは、少し間をあけて相対する。
折り目正しい兵服に、使い込まれた剣。察するに、雇われたばかりの腕のたつ傭兵か。
屋敷の内部で、彼らを待ち伏せていたようだった。
「……アルディスはどこだ」
イグナスは低い声で、問う。
「……知らんな」
返された相手の言葉に、嘘の響きはない。
彼らは足止めを命じられているだけ。恐らくは本当に知らないのだろう。
イグナスはそう判断して、再び口を開いた。
「ならここを通せ」
鋭い眼光が、空中でまじりあう。
しかし──
「……断る」
その答えとともに、敵の二人の身体が動いた。