あなたが教えてくれた世界
レオドルはやれやれと答えた。
「全く、特権階級と言うのは年齢やら肩書きで人を判断するから……」
皇王は憮然としながら言う。
「仕方ないだろう、娘の事なんだから……」
レオドルは息をついた。
「大体、この戦の時に、正規騎士で骨のある者が残っているわけなかろう。いるのは使えないくせに態度ばかりでかい中流貴族の子息だけだ」
彼の口調には容赦がない。
「まあ、二人の事は私が保証するとして……。一応、正規騎士からも選抜する気でいるのだが」
「そうなのか?……その者は、その『使えないくせに態度ばかりでかい』タイプではないのか?」
レオドルはニヤリと微笑んだ。
「お前も聞いたことがあるだろう。騎士の家柄の名門、アルコン伯爵家の嫡子を」
「……ああ、アルコン伯爵家」
フレグリオは頷いた。
アルコン伯爵家は歴史の古く、騎士と縁の深い上流階級だ。
普通、騎士と関わりの深い貴族家は立場が弱いかするのだが、ここは特別だった。
彼の一族は嫡子となる者も騎士隊に入隊し、厳しい修業を積む慣習をもっている。
そして、一族の者は他の上流騎士と違い、名実共に優れている事で有名だった。
「しかし、あのアルコン家の者ならば、戦争にも行っているのではないのか?」
「それが、アルコン家には今、その嫡子以外に跡取りとなるべき者がいないのだ。そこで、死んでは困ると直々にお願いがあってな……」
フレグリオも頷いた。
こう言う風に、理不尽な願いも通ってしまうのが貴族の特権なのだ。
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