bloody mary
「後ねー、脳や運動機能に障害を残さず、長時間仮死状態に」
「待て待て待て待て。
ちょ、落ち着い」
「あ。
菜々ちゃん、このコト知ってンの?」
「…」
会話はキャッチボールだって、ダレカが言ってたなー。
暴投ばっか食らってるなー。
受け取ってもくれないなー…
急に腕から手を放して真顔になったアンジェラを前に、マリーはうんざりした顔で口を開いた。
「…まだ。
逃げられたから。」
今度こそ、ちゃんと取って。
「まじ?!
早く教えてあげなきゃ!」
マリーの願いが通じて、やっとまともにキャッチボールできたようだ。
アンジェラは勢いよく身を翻してマリーの傍を離れた。
「きっと喜ぶゾー。
英会話の勉強しなきゃ!」
ウキウキと部屋の扉に近づいたアンジェラが、ドアノブに手を掛ける。
…ん?
なんか… 忘れてるよーな…
扉が薄く開いて、微かにナニカのピンが抜けたような音が…