月灯りに照らされて
各々の選挙
side 翠

大震災後、日本は、いろんな問題を抱えながら、復興へと道を
進もうとしているが、なかなか、問題が多すぎて、政治家たちは
右往左往していた。

結局、衆議院は、解散になり、年末の忙しい12月に選挙を
することになった・・・・。

今回は、どこも波乱含みで、新しい党の立ち上げも多く、
自由党も必死に戦っていた。

薫も、党の看板議員のせいか、テレビに各地の候補者の応援にと、毎日
テレビで見ない日がなかった。

「薫、大丈夫なのかな・・・だいぶ痩せたよね・・・・」
口から出る言葉は、薫の体調の事ばかりで、そんな自分に苦笑い
している日々が続いた。

選挙運動も、中盤に差し掛かった頃、電話が鳴った・・・・。

「もしもし・・・どちら様ですか?」

「翠ちゃん・・・・三枝です・・・」

「三枝さん、どうしたんですか?」

「うん、ごめんね。今、大丈夫かな?」

「はい、薫になんかあったんですか?」

「うん、薫の状態、知ってる?」

「はい、毎日、地方の党の方の応援に行っているようですね」

「うん、そうなんだ。選挙運動もまだ中盤なのに、今回は、薫も
 俺も、翼も、結構きつくて・・・。自分たちの選挙区だけじゃ
 ないから、体が悲鳴を上げているんだ・・・・」

「三枝さん、私に、何が出来るんですか?」

「さすが、翠ちゃん、お願い、翠ちゃんのお弁当と、はちみつ
 レモン、作ってくれないかな・・・・」

「お弁当って・・・・」

「うん、明日から3日間程、日帰りで地方に行くんだけど、僕たちの
 3食とは言わないから、せめて2食分と、はちみつレモンを
 差し入れて欲しいんだけど・・・ダメかな・・・」

今さら、薫にお弁当って・・・・・。
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