月灯りに照らされて
丁度、今日は、南条先生たちが、夫婦で地方に出かけており、
病院からは、南条先生に連絡が行ったのだが、自分たちが来れない
代わりを陽菜に頼んだらしい。

陽菜は、私が意識を失っている間に、だいぶ薫達に咬みついたらしいが、
三枝さんが、宥めたみたいだった。

陽菜は、いつの間にか、三枝さんと付き合い始めていたらしく、
私に気を使って、言えなかったらしい。

手術は、成功し、私は、1週間ほどの入院を余儀なくされた。

ただ、1年後に、骨を止めている金具を取り出さなくてはならず、
1年後にまた入院を、予約させられた・・・。

薫が、個室を用意してくれたので、結構遅くまで、皆は病室に残って
居たが、陽菜と三枝さんは、面会時間が終わると、帰って行った。

「薫、薫も帰って。奥さんが心配しているよ!」

「麗華は、実家に帰った。しばらく実家で静養するらしい」

「そう・・・。」

「翠、俺は、間違っていたんだ。俺は橘の妻を選ぶんじゃなくて
 俺の妻、そして俺を支えてくれる妻を選ぶべきだったんだ・・・」

「薫・・・・・・」

「俺は、麗華にも酷い事をしたと思っているよ。俺がしっかり
 していれば、誰も傷つかずに済んだんだ・・・・翠、俺、
 麗華と話をして、離婚するよ。
 そしたら、翠、俺の側に居てくれるか?
 否、翠には、俺の側に居て、離れないで欲しいんだ!」

薫の告白に、翠も

「薫・・・・・愛してるわ」

外は、綺麗な満月で、月灯りが綺麗だった。

薫の唇が、私の唇に落ちてきて、久しぶりに薫とキスをした。

そのうち深いキスに変わったが、私が、「いたっ・・・」
と、躰に痛みが走ったら、薫が苦笑いしながら

「ごめん、自制が効かなかった・・・・」と、苦笑いしながら

「でも、翠、ちゃんと、話し合いして、けりを付けて来るから
 それまで待っていてくれるか・・・・」

薫は、そう言うと、再度、キスをして、帰って行った。
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