月灯りに照らされて
南条のお陰で、翠は、今、こうして生活していられる。

翠は、助けてもらった恩を、本当なら弁護士になって、と思ったが
思いのほか、弁護士になるにはお金と時間がかかるので、なら弁護士
事務所に入って、頑張る弁護士さんの役に立てたらと思い、就職を
希望していた。

一日の講義を終え、月曜日は、バイトを入れてないので、帰りに
食材を買って、1週間分の食事を作ることにしている。

買って来たものは、何種類かのおかずに変化させ、冷蔵庫と冷凍庫に
それぞれ入れ、その都度、温めて食べることにしていた。

その方が、経済的だし、バイトのある日は、賄が出るので、ご飯が
いらない。だから1週間分といっても、大した量ではないので、
纏めて作っても、大して大変ではなかった。

一人で暮らすようになってから、祖母に教わったいろんな知恵を
フル活用しながら、生活している翠だった。

夕方、電話が鳴った。見ると、薫からだった・・・。

「もしもし、薫?」

「翠、今、何してた?」
 
何の用事か、不思議に思いながらも

「ご飯を作ってましたよ?薫、仕事は?」

「うん、今日、急に親父の予定が変更になって、時間が空いたんだ。
 今からそっちいっても良い?」

「えっ、う・うん、大丈夫だけど、どのくらいで来れるの?」

「30分したら、着くから、部屋に居れてね!じゃー、あとで」

と、電話を切ってしまった・・・。

急いで、私は、部屋を見渡し、見られてはいけないものがないか、
確認し、きっとこの時間なら、ご飯を食べるだろうから、ご飯の
準備に取り掛かった。
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