みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
「それでも今夜、正式に婚約発表したら結婚する羽目になる。
あーあ、本命にはスルーされて可哀想だな俺たちって。これはもう、タヌキと強欲な周りを恨むしかない」
ニッコリと笑っているが、皇人はやっぱりトンデモナイ野郎だ。とはいえ、最後の意見には同意。
ただ早水の顔を見られず、横目で傍若無人のクソ男を睨み続けていた。
――ずっと隠し続けた気持ちをこうもあっさりバラされるとは。
「では、引き受けて宜しいんですね」
「粗大ゴミにしなければ」
「それは簡単な要望ですよ」
彼らは私を置き去りにして、あっさりと話をまとめてしまった。
皇人は「あとは任せとけ」と私の肩を叩くと、そのまま部屋を出て行ってしまう。
バタン、とドアが閉まる音がやけにうるさく感じるほどの空間に残された私と早水。
「貴女はバカですか」
「違うわよ!」
「ムキになるほど肯定してますよ。ご自分がバカだと」
容赦ない発言は私の心臓にクリーンヒット。押し黙っていると、彼は私の目の前まで距離を詰めた。