みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
ムッとして勢いのままにビールを飲み干すと、ガンとジョッキを少し強めに叩き置く。
「アイツが今日、朝っぱらから私になんて言ったと思う!?
“これだから成長しない。ああ、既に成長が止まって退化中なのか。気の毒に”だよ!?
やみくもに人を疑うのも嫌うのは好きくない。けどアイツはダメだ!――いっぺん地獄見て来いっつの!」
顔色ひとつ変えることなく言いやがったあの時の顔を思い出すと、またイライラが募り始めた。
「知らねえよ」と言わんばかりの顔で3人には見られ、隣ではにこにこする女子1名。
無言ほど虚しいものはない。ここはおのずと口を尖らせながら黙るしかないようだ。
「彼の一言一句覚えてるって、それも凄いね」
「亜矢ぁ、そうじゃないって!」
フォローを入れてくれるのかと思いきや、やっぱり今日もズレてた子のお陰で、怒りの炎は不完全燃焼。
しかし、ヤツの話をしすぎたせいか女子会でもグチれなくなってきたこの頃。
女系一家でひとり肩身の狭い思いをする、世のお父さんたちの心境が少し分かったかもしれない。