みだりな逢瀬-それぞれの刹那-


本当に心から好きだと思える人に出会い、初めて幸せだと思えるようになった。それ以上に、彼の幸せと成功を願って止まないから。


――貴方のためなら何だって出来る。その思いに駆られて、いま強くいられるのだろうか。


「ね……、叶?」

「ん?」


でも、やっぱりブレーキをかけるその心地よい声に負けてしまいそう。


本当はすぐに会いたい、抱き締めて欲しい。今すぐ航空チケットを取って彼の元へ行きたくなるほどに。


「あのね……、またフィッシュアンドチップスが食べたいなぁと思って」


だから、受話器を持つ手に自然と力が籠ってしまう。――絶対に泣くな、何も言うなと。



「ハハ、それなら休みが取れたらまた遊びに来てよ。待ってるから」


「…うん!もっと頑張って働かなきゃね」


「透子はいつも頑張ってるよ。無理しないで」

その彼らしい優しいひと言が、今の私の胸には鋭い痛みとして突き刺さった。



「ありがと。叶、……愛してる」


「知ってる。俺も愛してるよ」


「じゃあ、……またね」


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