みだりな逢瀬-それぞれの刹那-


ちなみに良家の娘だから、ではなく彼女は本当にモテていた。外見で目を奪われると、フランクな性格とのギャップにやられる。


言わずもがな俺もそのひとりだけど、熾烈な争いを勝って付き合いが始まった。


気負わず安心できる透子との時間は愛しさと癒しで包まれ、俺の中の何かを着実に変えてくれた。


もちろん主張の強い俺たちは喧嘩もそれなりにした。ただ数日経つと、決まって俺のマンションに料理を作りに来てくれた。


黙々と料理を作ってくれる姿が可愛くて、最後は透子の後ろから抱きついてそのまま仲直り。


人を許すことが下手な俺を上手く転がしていたのは結局、遠回しにきっかけをくれる彼女だった……。



『私ね、……皇人先輩が好き。ずっと、彼と寝てたの。
寂しさを紛らわすつもりだった。……でも、優しい彼のことを本当に好きになってた。
叶とは一緒にいられない。ごめん、…もう別れて。――バイバイ』


変わらず続くと思った関係に終わりが来たのは、そんな透子が掛けてきた電話1本。


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