みだりな逢瀬-それぞれの刹那-
溜め息混じりの妹のトドメの言葉には、さすがの私も堪える。
アラサーの時と大差ないと思っていたけど、30歳を過ぎれば世間の目も変わるから悲しい。
ただ、やっぱり私にだって感情はある。好き勝手に言われて黙っているほど優しくもない。
ついでに、顔は似てなくても姉妹だから、負けず嫌いなところは一緒でしょ?
「言っとくけど」とあからさまな溜め息を吐き、妹を前に腕組みをし返した。
「会社もどのブランドも、それを支えてくれる社員も、私にはかけえがえのない財産なの。――だからあかね、よく覚えておきなさい。
パパはもちろん、社員のみんなの頑張りとご愛顧下さるお客様のお陰で、今のこの生活があるのよ。
すべてに感謝こそすれど、不平不満を漏らすのはおかしいわ。いえ、お門違いね。
世の中を甘く見てると、そのうち痛い目を見るわよ。いい?分かった?」
普段は姉だからと我慢して、余計なことは言わないよう努めている。
しかし、妹のこういう自己中心的なところは母にそっくり。だから、時には容赦なく言うのも大事だと思う。
――そもそも勘違いや間違っているものを正して、何が悪いというの?