奪取―[Berry's版]
 室内に佇む春花の姿を捉えた喜多は、乱暴に彼女を抱きかかえベッドへと沈める。突然のことに驚き、制止させようとする春花の言葉に耳を傾けることもせず、唇を合わせる。衣類のボタンが飛び、床へ転がることも気にせず、春花の肌を暴いてゆく。胸に疼く衝動が、喜多を急き立てていたのだ。

「いてっ!」

 喜多は予想外に与えられた痛みから、反射的に唇を離した。唇を舌でなぞると、鉄の味がした。春花が歯を立てたせいである。喜多の両腕の囲いの中から抜け出し、身体を起こして鋭い視線を向けている春花を見つめながら、喜多は親指でそれを拭う。

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