奪取―[Berry's版]
 首を左右に、緩慢な動きで振って。絹江は声を上げた。

「もう……おかしくなりそう。喜多くん。お願い、動いて……」

 絹江の要望に、喜多は口角を上げ答える。待ってましたと言わんばかりの表情だ。未だ、自身の髪に差し込まれている絹江の手を取り、指を絡ませる。ベッドへそれを縫いつけ、額に唇を落とす。
 先ほどまで、ゆるゆると前後していたはずの腰を一旦引いて。喜多は勢い良く、突き上げた。突然の刺激に、絹江は声をあげる。そのまま腰をぐるりと回し、喜多は上体を起こした。

「絹江、君の望みに応えるよ」

 後悔する間もなく、絹江は声を上げることも儘ならないほど。喜多の思うままに、喜多が満足し、3度ほど欲望を絹江の中で爆発させるまで。絹江は何度も揺さぶられたのだった。
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