ブルーローズの恋人
「ああ、そうそう。甲斐崎、前にバイト探してるって言ってたよな? あれってまだ探してるか?」
「ああ……うん。まだ決まってないから」
以前、バイトを探している話を佐和になんとなく話した事があったのを思い出す。
大学に入ったらバイトを始めようと考えていた真那は、情報誌で幾つか調べて申し込んだが、書面選考は全て不採用と返送されてしまった。
面接へ行った先でも、面接担当者からは訝しげな視線を投げられるのが殆どだった。
直接言われた訳ではないが、恐らく見た目と履歴書に記入した性別が一致しないのが理由だろう。
立て続けにバイトを断られてからはバイト先を探す気力も落ちてしまい、大学二年になった今では今後の就職活動に支障が出るのではと不安に思う程だ。
「明日の晩、数時間程度のバイトらしいんだけど俺の従兄弟が誰か居ないかって探してて。ホントは俺が行けないか聞かれたんだけど、ちょうど予定が入っててさ。甲斐崎が探してるの思い出して……」
良かったら替わりに行かないか?
思い掛けないバイトの誘いに、真那は呆然と佐和を見る。
「え……と、」
「やっぱり長期的な方が良かったか?」
申し訳なさそうに眉尻を下げる佐和に、そんな事無いと慌てて首を振る。