ブルーローズの恋人

「ううんっ、そんな事無い。凄く有難いけど……その……」

折角、佐和が声を掛けてくれたけれど、自分の容姿を見て先方に断られてしまったらと思うと手放しに喜べない。
断られた時、佐和にも申し訳ないと思ってしまう。

そんな真那の様子を見て察したのか、残りの水を飲み干した佐和が「大丈夫」と言って軽く肩を叩いた。

「ちゃんと甲斐崎の写メ見せて説明してるって。そしたら是非来て欲しいってさ。滅茶苦茶美人だって驚いてた」

美人、と耳慣れない単語に誰の事だと呆ける真那に、佐和が苦笑を浮かべる。

「あのさ、お前もうちょっと自分の姿自覚した方が良いぞ?」

「……うん。自覚はしてるんだけどね」

他人にどう評されているか、嫌という程自覚しているつもりだ。
なるべく目立たないようにとしていても、それでも噂話といった類いは人が群がる場所には嫌でも付いて回り、尾鰭を付けて人の間を泳いでいく。

悪目立ちしている事に気落ちして表情を曇らせると、佐和が焦ったように声を上げた。

「……っと、自覚ってのは悪い意味じゃなくて。聞いた事無いか? ウチの大学内で凄い美人だって話」

「……誰が?」

「……この話の流れでソレ言う? お前だよ、お前。男子にも女子にもスゲー人気あんの。俺とか、甲斐崎と話してるってだけで羨ましがられるんだぞ?」

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