ブルーローズの恋人
笑いながら言う佐和の言葉が信じられなくて、真那は内心首を傾げる。
妃那が可愛いという話は幾らでも耳にするが、自分が美人だなんて今までそんな話一度も聞いた事が無い。
自分自身ですら気持悪いと思っていた時期があったくらいだ。
美人だなんて、そんな形容されるような人間じゃない。
もしかしたら、バイトの件で真那を気後れさせないようにと、気遣って言ってくれているのだろうか。
「あ、ゴメンっ。俺、ダチ待たせてるからもう行くな。次の講義一緒だったろ? その時に場所とか時間、詳しく説明するから」
「分かった、有難う」
「いや、こっちこそ助かるよ。あ、コレも有難うな!」
空になったペットボトルを振って見せてから走り出した佐和の背に、真那は手を振って見送る。
(やっと、バイトが出来るんだ……)
短い時間だけれど念願叶っての初バイトだ。
どんなバイトなんだろう、とあれこれ思い浮かべながら少しずつ心地良い緊張が胸を満たし始める。
(妃那にも報告しなきゃ)
待たせてしまっている妃那の元へと、気付けば弾む気持ちで駆け出していた。