せんせい
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九月一日、午後6時。
西から射しこむ夕日が、校舎を茜色に染めていく。
カナカナカナ…裏山の森に住むひぐらしが、一日の終わりが近付いたことを告げている。
「… ふぅ、」
男の口からため息がひとつ洩れた。
「どーすっかな、これ…」
見つめる先には、大量の原稿用紙が山となって置かれていた。夏休みの残骸…いや、汗と涙の結晶か。何れにせよ、これを全部読むだけでも一苦労である。
「毎年くだらねぇのは多いが、このパターンは初めてだな…」