Bloom ─ブルーム─
由紀ちゃんに借りるにしても、あのラーメン屋までどうやって行ったんだろう。

歩き?だとしたら追いかければ間に合うかも。

私は鍵を握りしめると慌てて立ち上がった。そして、自転車置場までダッシュ。

ビンタの現場を見られた事を思い出すとあんまり顔を合わせたくない気分だったけど、長谷川大樹と書かれた鍵を見せられたら走り出さずにはいられなかった。

1時間半も寝てしまったから、寝始めに鍵を渡してくれたのだとしたら間に合わないかもしれないけど。

でも、ラーメン屋にはいるかもしれない。

息を切らして自転車置場に着くと、長谷川大樹の自転車を探す。

それは昨日と同じ位置にあった。

けど、その隣でしゃがみこむ男子を見つけて私の足が止まる。

ドラムだ。

今帰るところなのか、隣の自分の自転車に鍵を差し込んでいる。

──どうしよう。

なんとなく、この人だけ無口で話しかけづらいんだよね。

背も高いし、私との身長差半端ない。

これは結構な威圧感。

でも無言で勝手に長谷川大樹の自転車に乗ったらきっと怪しむだろうし。

迷いながらも鍵をキュッと握りしめた時、やっと自転車に跨がったドラムが顔を上げ、私を見た。

「あ、柴犬」

「え?」

びっくりして周りを見渡すけど、野良犬的なのは見当たらない。

わ、私の事?

「昼寝終わったの?」
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