Bloom ─ブルーム─
「は?はぁ」

「大樹がジュース買いに言ったら柴犬が寝てたって言ってたから」

柴犬って、やっぱ私の事なんだ……。

柴犬の花子か。

「あの、長谷川先輩は今日もラーメン屋さんですか?」

「屋上にいるけど?」

「屋上?」

「さっきまで一緒に作曲してたけど煮詰まってきたから置いてきた」

屋上に?いるんだ?

私はふと校舎を見上げた。

でも屋上は自転車置き場の屋根で隠れて、ここからはちょうど見えない。

後30分でバス来るし、それまでに自転車の鍵を返せばお互いちゃんと帰れるんじゃない?

「ありがとうございます!」

お礼を言って、また来た道を戻ろうとすると

「行かない方がいいよ」

なぜかドラムが私を止めた。

「今、女と一緒だから」

女?

屋上に?

屋上の鍵の事、私達の秘密だと思ってたのに。

ドラムはバンドのメンバーだからわかるけど、私以外の女の子も秘密を共有してたんだ?

なんだ。

『秘密だよ』なんて特別っぽい言葉で持ち上げといて、結局は特別でも何でもないじゃん。

「うそ。作曲のジャマするとあいつ機嫌悪くなるから。行かない方がいいよ」

「うそ?」
< 101 / 315 >

この作品をシェア

pagetop