Bloom ─ブルーム─
「先輩、質問してもいいですか?」

「うん?何?」

長谷川大樹は自転車を降りると、ハンドルを私から受け取って、自転車を押しながらゆっくり歩き出した。

「──軽蔑……した?」

「へ?」

「私のビンタ見て……」

「あぁ、はははっ、あれ?すごかったね。本当ヤンチャ娘」

彼は無意識か計算か、簡単に私の頬をつまんで笑う。

ずるい。

「友里亜ちゃんが泣き出したの見てたからさ、みんなで急いで中入ったんだよ。

そしたら玄関のとこでちょうど里花ちゃん達見つけて。で、あの子の携帯奪ったとこからちゃんと見てたから理由はわかってるよ。

逆にスカッとしたかな。あれやられたら、俺でも殴ってるわ」

最初から、見てたんだ。

本当に聞きたいことはこんなことじゃなかったんだけど、軽蔑されてないと知ったらホッとする自分がいる。

「何?俺に嫌われたくなかった?なーんて。へへ」

「うん」

嫌われたくないと、思った。

嫌われてなくて良かったと、思った。

もしかしたら信じちゃいけない人かもとか考えながらも、この人が悪い人なはずないって、私の心が言う。

そんな私はもう取り返しつかないとこまできてるのかも。

「あれ?何、なに?なんか変なもんでも食った?」

でも、真剣だった私の返事を冗談でかわされたら

「FRISK食べました。これ腐ってるかも?」

笑うしかない。

「腐るかよ!あれ?でも賞味期限あるの?あるんだ?でも期限来年だし!」

私がポケットから取り出したFRISKケースに顔を近づける彼。

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