Bloom ─ブルーム─
「ひとつ、訂正させて?」

話してる私を遮って、長谷川大樹は言った。

「屋上の鍵の事知ってるのは、バンドのメンバーと、女の子では里花ちゃん1人だけだよ」

女の子では私1人だけ?

また特別な言葉で簡単に持ち上げる。

そして、あーあ、と大きなため息を大空に向かって吐き出すと

「恋バナ、してもいーデスか?」

なんて微笑んだ。

「どーぞ」

期待と不安と、興味と疑問と、複雑だった思考がさらに複雑化するけど。

私は長谷川大樹を見つめて、答えた。

そしたら、花子と同じ目で見るなよって笑われた。

真夏でも、夕方になると急に風が冷たくなる。

スーッと横から吹く風が私の頬をひんやり撫でた。

少しだけ火照った顔が落ち着く。

「俺ね、忘れられない子がいたんだ……って、過去形にするにはまだ早いかも」

その一言で、さらに頬が冷えた。

「中1で一目惚れして、中2で告白されて付き合って、中3でふられたんだけど。メチャクチャ好きだったから、ずーっと忘れられなくてさ。

情けないけど、秘かに思い続けてたんだよね」



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