Bloom ─ブルーム─
「どんな……人?」

知りたくないのに、なぜだか私はそんな質問を口にしていた。

見たくないのに見てみたいと思ってしまう。彼が恋した相手を。

「うーん。典型的な女の子って感じの……可愛い……人?」

最後を“?”で終わらせた長谷川大樹は恥ずかしそうに笑った。

「だけど、その子の前になると全然喋れなくなっちゃうんだよね、俺。

一緒に帰っても無言で、手も繋げなかったし、本当何もしてあげられなかった。

けどさ、教室にいたら他の女子とはたくさん喋るじゃん。それを見てた彼女が悩んでたらしくて、俺の友達に相談してて。

ある日、友達に言われたんだよ。大事にしないと奪っちゃうよ?って」

「友達も彼女の事、好きになっちゃったの?」

「いや。本当は俺と同じで最初から好きだったみたいなんだ。全然気づかなかったなぁ」

なんとなく、この優しい人が出した答えが見えたような気がした。

きっと、友達に気兼ねなくつきあっていられるほど、図太くないはず。

「何もできない俺といるより、その友達といた方が彼女は幸せなんじゃないかって考えちゃって。

なんとなく、『いいよ』って言っちゃったんだ。そしたら、それを彼女に聞かれてて、泣きながら走ってく後ろ姿を──」
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