Bloom ─ブルーム─
「ありったけのFRISK?口の中爆発しちゃいますよっ。何から逃げてきたんですか?」

「そー、めっちゃスースーして、腹の中まで冷たくなった感じだったよ。あれはもう2度としないわ。里花ちゃんも気を付けてね」

「しません」

「そっか」

西の空に沈みかける夕陽がオレンジ色に光って、それが彼の顔を照らしてた。

私達の隣を、学生バスが通りすぎて行く。

やっぱりバスの方が早かった。

「さっきね、屋上で明宏……ドラムの奴ね?明宏と曲作ってたらさ、俺の携帯が鳴ったんだよね。

画面に彼女の名前が出ててさ、あ、番号今でも残してるとこが情けないんだけど」

「彼女から電話?来たんですか?」

「うん。別れてから初めて。すげー動揺した」


動揺したと言う彼の隣で、私は動揺していた。

だからか。

『置いてきた』と言ってたドラム。

『女と一緒』というのは、あながち間違いじゃない。

忘れられない元カノとの電話だったんだから。

「なんて、言われたんですか?」

長谷川大樹は、はあぁぁーっと長く大きなため息を吐き出すと

「やり直せないかって」

私の頭にガーンッと大きな岩を投げつけるような衝撃を与えた。

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