Bloom ─ブルーム─
「ここが好きな理由はね、もうひとつあるんだ」
「もうひとつ?」
「うん。あそこに見える墓地あるでしょ?あそこに、母さんが眠ってるんだ。俺、反抗して全然母さんの話聞かなくてさ、親孝行も何もできないままで。病気だったのも、ずっと知らなくて。
気づいた時にはもう、いなかった」
両親健在の私にはわかり得ないことなんだと思った。
「めちゃくちゃチャリ走らせて、ぶっこわれる勢いで病院行ったのに……実際ギアチェン壊したんだけど。
でも、間に合わなかったんだ」
寂しいとか、悲しいとか、そんな言葉では片付けられない想いが、彼の声から伝わってきた。
「俺に言いたかったことがたくさんあったと思うんだ。話したかったことが、きっと山ほどあったはずなんだ。
聞けなかった気持ちが、ここにいたら聞こえるような気がして。
だから、ここで歌詞書いてるんだ」
長谷川大樹はそう言うと、学祭の日に私に預けたノートを鞄から取り出した。
「全ての人に、明日があるとは限らないっていうのを、今、迷ってる人に伝えられたらいいなと思って」
そして、ボールペンを1本ポケットから取り出すと、真ん中くらいのページを開き、何かを書き込んだ。
「実は今、とても感動しました」
そう言って、書き終えたノートを私に向ける。
そこには
『ここの季節が変わるときを、一緒に見よう』
と結構汚い字で書かれていた。
「もうひとつ?」
「うん。あそこに見える墓地あるでしょ?あそこに、母さんが眠ってるんだ。俺、反抗して全然母さんの話聞かなくてさ、親孝行も何もできないままで。病気だったのも、ずっと知らなくて。
気づいた時にはもう、いなかった」
両親健在の私にはわかり得ないことなんだと思った。
「めちゃくちゃチャリ走らせて、ぶっこわれる勢いで病院行ったのに……実際ギアチェン壊したんだけど。
でも、間に合わなかったんだ」
寂しいとか、悲しいとか、そんな言葉では片付けられない想いが、彼の声から伝わってきた。
「俺に言いたかったことがたくさんあったと思うんだ。話したかったことが、きっと山ほどあったはずなんだ。
聞けなかった気持ちが、ここにいたら聞こえるような気がして。
だから、ここで歌詞書いてるんだ」
長谷川大樹はそう言うと、学祭の日に私に預けたノートを鞄から取り出した。
「全ての人に、明日があるとは限らないっていうのを、今、迷ってる人に伝えられたらいいなと思って」
そして、ボールペンを1本ポケットから取り出すと、真ん中くらいのページを開き、何かを書き込んだ。
「実は今、とても感動しました」
そう言って、書き終えたノートを私に向ける。
そこには
『ここの季節が変わるときを、一緒に見よう』
と結構汚い字で書かれていた。