Bloom ─ブルーム─
「これ、次曲作る時に使ってもいい?」

私の言葉が歌になるの?

そこにどんなメロディーを添えてくれるんだろう。

「……はい」

二ッと笑った先輩は「いい歌にするよ」って自信満々に言った。

「付き合ってくださいっていうオーソドックスな告白はされたことあるけど、次の季節を一緒に見たいなんてクサいセリフ言われたのは、初めてだよ」

「こ、告白じゃありません!しかも、クサいセリフって!」

「告白じゃないの?」

おちょくってるのか?

真面目な長谷川大樹はどこかに消え去り、またいつもと変わらないふざけた彼が顔を出す。

「なーんだ。結構揺らいだんだけど」

え?今、なんて?

ふんと、鼻で笑って目をそらす彼。

「今、なんて言いました?」

「別に」

「なに?なんで?言いましたよね?何か言いましたよね?」

「んー?言ったっけ?あーそうだ!前にも言ったんだけどさ」

「な、なんでしょう?」

トキドキドキドキ……これは、期待度高いのでは?

もしや?

「大樹でいいよ」

「は?」

「だから、長谷川先輩とか言われるとむずがゆくなるから、大樹でいいよ」

それは期待してたのと違うんだけど、ある意味嬉しいセリフだったりするから、混乱する。

とりあえず言ってみようか。

「大樹……」

「はい?」

先輩がニッコリ返事する。

けど、ダメだ!

「……先輩」

“先輩”を付け足した瞬間、ずるっとずっこける真似をする彼。

「無理ですよ。そんなの」

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