Bloom ─ブルーム─
いつか彼の夢が叶えばいいと思う。
そして、たくさんの人に彼のメッセージが届くといい。
彼の歌が、声が、みんなの心に届くといい。
そう願う傍らで、遠くに行ってしまうそのときを怯えてる自分もいる。
彼がいつかスポットライトを浴びて、ファンの歓声に包まれて輝いている時、きっと私はこの町でひっそり生きているんだろう。
「もし、この町で、大樹先輩が、例えばナナさん以外の人を好きになったとして、その子が遠くに行かないでとか言ったらどうします?」
「行くよ」
一瞬の迷いもなく、即答だった。
「薄情ですね」
「ぶははっ。確かに。けど、多分そう言うだろうなって子を好きにはならないと思う。
そうやって悲しませることになりそうな子とは最初から始まらせないよ。
そんな恋に縛られる時間あったら、曲書いてる」
胸に、大きくて太い釘を打ちこまれた気分。
「もしかして、ナナさんを断ったのはナナさんが行かないでって言いそうだったから?」
「いや。もしかしたら、逆かな」
「逆?」
「俺が、置いていけなくなるのが、怖かったのかも」
「……」
そして、たくさんの人に彼のメッセージが届くといい。
彼の歌が、声が、みんなの心に届くといい。
そう願う傍らで、遠くに行ってしまうそのときを怯えてる自分もいる。
彼がいつかスポットライトを浴びて、ファンの歓声に包まれて輝いている時、きっと私はこの町でひっそり生きているんだろう。
「もし、この町で、大樹先輩が、例えばナナさん以外の人を好きになったとして、その子が遠くに行かないでとか言ったらどうします?」
「行くよ」
一瞬の迷いもなく、即答だった。
「薄情ですね」
「ぶははっ。確かに。けど、多分そう言うだろうなって子を好きにはならないと思う。
そうやって悲しませることになりそうな子とは最初から始まらせないよ。
そんな恋に縛られる時間あったら、曲書いてる」
胸に、大きくて太い釘を打ちこまれた気分。
「もしかして、ナナさんを断ったのはナナさんが行かないでって言いそうだったから?」
「いや。もしかしたら、逆かな」
「逆?」
「俺が、置いていけなくなるのが、怖かったのかも」
「……」