Bloom ─ブルーム─
「あ、お揃いだ?」

「違いますよ?色味変えたもん」

私のはピンク系、大樹先輩にはブルー系。でも、同じオレンジを編み込んだからなんとなく似てる。

「手作り?」

「え?あ、ううん。まさか。百均です」

「百均?すげー。今時の百均は進化してんな」

彼女でもなんでもない私が手作りを渡すなんて、重すぎる。

気軽に渡せるときを、実は待っていたんだ。

「これで緊張しないですよ?」

「さんきゅー」

先輩は手首をクルッと回すと、揺れるミサンガを眺めて言った。

「さすが百均。途中太さ違うし」

「うそ」

結構頑張ったし、ちゃんと見直しして一番うまくいったものを渡すことにしたはずなんだけど。

焦って先輩の手首に視線を向ける。

「うっそー。メチャクチャうまく出来てるよ。やっぱ器用だね」

「なんだ、良かっ……」

ホッと胸を撫で下ろそうとして、ハッとした。もしかして、手作りってバレた?

やばいと口に手を当てた時、

「なぜ隠す?」

大樹先輩が顔を近づけて、ニヤッとしてきた。

ば、バレた。

手作り……重たくないかな?

でも先輩は嬉しそうにミサンガをしばらく眺めていた。
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