Bloom ─ブルーム─
突然健さんは身を乗り出して、私の顔をまじまじと覗き込んで来た。
「よく見たら意外に里花ちゃんも可愛いよね?たまにめちゃくちゃ男前な行動とるから気づかなかったけど」
意外?男前?
「褒めてるんですか?けなしてるんですか?」
「あ、そうだ!」
今度は何を思い出したのか、いきなり私を指差すと、笑いながら言った。
「あんた、花子に似てるんだ!そうだ、うちの柴犬の花子だよ!」
「もういいですよ!柴犬は」
大樹先輩も、ドラムも健さんも、みんな口を揃えて柴犬柴犬って。
私だって乙女なんだから。
「もうって?何?もしかして大樹にも言われたとか?」
「……だったらどうなんですか」
「ぶはッ。マジで?」
飲みかけたコーヒーを吹き出しそうになってる健さん。
そして
「天使か柴犬かったらやっぱ……天使選ぶわな」
俺も大樹の引き立て役だから、キミの気持ちはわかるよ、って、私の頭を撫でた。
ここで言う“天使”はナナさんのことだって、説明をもらわなくてもわかるくらい、天使って言葉がピッタリだった彼女。
近づいた健さんから届くコーヒーの香りが、ほろ苦い気持ちと重なって苦しくなる。
だからグビッとコーラを一気飲みした。
炭酸の刺激が喉に刺さって、胸の痛みを一瞬だけ忘れさせてくれた。
ふと窓の外に目を向けると、ピンク色の傘に隠れて横断歩道を渡る華奢な女の子が視界に入った。
華奢な女の子に敏感になってる。
「ダイエットしようかな」
「それ以上痩せてどーすんの?」
いつもは食べすぎる私をデブるデブるって言うくせに。
「よく見たら意外に里花ちゃんも可愛いよね?たまにめちゃくちゃ男前な行動とるから気づかなかったけど」
意外?男前?
「褒めてるんですか?けなしてるんですか?」
「あ、そうだ!」
今度は何を思い出したのか、いきなり私を指差すと、笑いながら言った。
「あんた、花子に似てるんだ!そうだ、うちの柴犬の花子だよ!」
「もういいですよ!柴犬は」
大樹先輩も、ドラムも健さんも、みんな口を揃えて柴犬柴犬って。
私だって乙女なんだから。
「もうって?何?もしかして大樹にも言われたとか?」
「……だったらどうなんですか」
「ぶはッ。マジで?」
飲みかけたコーヒーを吹き出しそうになってる健さん。
そして
「天使か柴犬かったらやっぱ……天使選ぶわな」
俺も大樹の引き立て役だから、キミの気持ちはわかるよ、って、私の頭を撫でた。
ここで言う“天使”はナナさんのことだって、説明をもらわなくてもわかるくらい、天使って言葉がピッタリだった彼女。
近づいた健さんから届くコーヒーの香りが、ほろ苦い気持ちと重なって苦しくなる。
だからグビッとコーラを一気飲みした。
炭酸の刺激が喉に刺さって、胸の痛みを一瞬だけ忘れさせてくれた。
ふと窓の外に目を向けると、ピンク色の傘に隠れて横断歩道を渡る華奢な女の子が視界に入った。
華奢な女の子に敏感になってる。
「ダイエットしようかな」
「それ以上痩せてどーすんの?」
いつもは食べすぎる私をデブるデブるって言うくせに。