Bloom ─ブルーム─
「大樹先輩は……傷つけることにすごく臆病なんです。ナナさんを好きなのは間違いないけど、きっと他の誰かを傷つけることを恐れて動き出せないんじゃないですか?
だって、前だって、ナナさんのことが好きなのに、健さんの気持ち知って追いかけられなかったって。
だから、逃げちゃダメです。きっと追いかけないのは追いかけることでもっとこの先悲しい想いをさせるかもとか、そういう無駄なことまで考えちゃってるからなんです」
きっと、やっぱりまた健さんの気持ちを考えて動き出せないんだ。
それで、この先ナナさんを置いていかなきゃならないかもしれない未来のことを考えてるんだ。
「大樹先輩から逃げちゃダメです。追いかけてあげるくらいじゃないと、ダメなんです。大樹先輩は……」
そう言って、またハッとした。
初対面の、大樹先輩の大切な人に、余計なことを言ってしまった。
「って、健さんが言えって……」
目の前の健さんを指差してみる。
「言ってねぇし!」
でも、健さんは花子のようにはいかないらしい。
簡単に否定されてしまった。
「里花、お前全部わかったようなこと言うなよ。まぁ、大半当たってるけど」
その時、隣から
「り……かちゃん?」
ナナさんのキレイな唇から私の名前がこぼれた。
途端に『里花』という名前が天使の落とした羽根のようにヒラヒラ舞い始める。
不思議。
自分の名前であって、別の単語みたい。
あ、私、花子ってことになってたんだっけ?
「えっと……」
返答に迷っていると、
「さっき暗くてあまりよくわからなかったから」
私の顔をジッと見た後、悲しそうに俯く彼女。
だって、前だって、ナナさんのことが好きなのに、健さんの気持ち知って追いかけられなかったって。
だから、逃げちゃダメです。きっと追いかけないのは追いかけることでもっとこの先悲しい想いをさせるかもとか、そういう無駄なことまで考えちゃってるからなんです」
きっと、やっぱりまた健さんの気持ちを考えて動き出せないんだ。
それで、この先ナナさんを置いていかなきゃならないかもしれない未来のことを考えてるんだ。
「大樹先輩から逃げちゃダメです。追いかけてあげるくらいじゃないと、ダメなんです。大樹先輩は……」
そう言って、またハッとした。
初対面の、大樹先輩の大切な人に、余計なことを言ってしまった。
「って、健さんが言えって……」
目の前の健さんを指差してみる。
「言ってねぇし!」
でも、健さんは花子のようにはいかないらしい。
簡単に否定されてしまった。
「里花、お前全部わかったようなこと言うなよ。まぁ、大半当たってるけど」
その時、隣から
「り……かちゃん?」
ナナさんのキレイな唇から私の名前がこぼれた。
途端に『里花』という名前が天使の落とした羽根のようにヒラヒラ舞い始める。
不思議。
自分の名前であって、別の単語みたい。
あ、私、花子ってことになってたんだっけ?
「えっと……」
返答に迷っていると、
「さっき暗くてあまりよくわからなかったから」
私の顔をジッと見た後、悲しそうに俯く彼女。