Bloom ─ブルーム─
「ナナの方が可愛いじゃん」
ナナさんの友達がムスッとして呟いた。
聞こえてますけど?
てか、ナナさんに張り合うつもりも、張り合えると思ってもないですけど?
「帰る」
ナナさんは突然立ち上がった。
私の言ったことで怒らせちゃったかな?
他にも何か気に障ることしたのかな?
あ……。
健さんが『逃げるなよ、里花』と言った時、名前を聞いたのか。
それで、『里花』という人がライバルだと知ったのかも。
「ちょっと待てって。ナナ、そもそもさぁ、なんで逃げてきたわけ?うまくいきそうだったじゃん?
結構うまい具合にカマかけたつもりだったんだけど」
健さんが、立ち上がったナナさんに問いかけると
「……あんな慌てた大樹君、初めて見た」
そう言って歩き出してしまった。
「何があったの?」
今度は、ナナさんの後を追いかけようとする友達の腕を掴んで問い詰める健さん。
迷いながらも、友達はナナさんの背中を見てから
「大樹君、別の子の名前呼んじゃったんだよ」
悔しそうにボソッと答えた。
「アイツ、名前間違えたの?」
「ううん。そういうんじゃなくて。自分でも咄嗟に出ちゃったみたいな感じで、言った後、手で口を押さえてて……。
ナナはそれ見て逃げ出しちゃったんだよ。
私はそんなに気にすることじゃないって思ったんだけど、追いかけて来ないし……」
友達の説明に、健さんは眉間にシワを寄せて尋ねた。
「誰の名前?」
「……」
何も言わない友達。
そして
「間違っても“花子”じゃないから安心して」
私に言い残して、歩き出した。
ナナさんの友達がムスッとして呟いた。
聞こえてますけど?
てか、ナナさんに張り合うつもりも、張り合えると思ってもないですけど?
「帰る」
ナナさんは突然立ち上がった。
私の言ったことで怒らせちゃったかな?
他にも何か気に障ることしたのかな?
あ……。
健さんが『逃げるなよ、里花』と言った時、名前を聞いたのか。
それで、『里花』という人がライバルだと知ったのかも。
「ちょっと待てって。ナナ、そもそもさぁ、なんで逃げてきたわけ?うまくいきそうだったじゃん?
結構うまい具合にカマかけたつもりだったんだけど」
健さんが、立ち上がったナナさんに問いかけると
「……あんな慌てた大樹君、初めて見た」
そう言って歩き出してしまった。
「何があったの?」
今度は、ナナさんの後を追いかけようとする友達の腕を掴んで問い詰める健さん。
迷いながらも、友達はナナさんの背中を見てから
「大樹君、別の子の名前呼んじゃったんだよ」
悔しそうにボソッと答えた。
「アイツ、名前間違えたの?」
「ううん。そういうんじゃなくて。自分でも咄嗟に出ちゃったみたいな感じで、言った後、手で口を押さえてて……。
ナナはそれ見て逃げ出しちゃったんだよ。
私はそんなに気にすることじゃないって思ったんだけど、追いかけて来ないし……」
友達の説明に、健さんは眉間にシワを寄せて尋ねた。
「誰の名前?」
「……」
何も言わない友達。
そして
「間違っても“花子”じゃないから安心して」
私に言い残して、歩き出した。