Bloom ─ブルーム─
「ち、ちょっと待って。ナナの誕生日って今日だよな?」
歩き出した友達の手を再び掴んでひき止める健さんは、なぜかそんな質問をした。
「は?元カノの誕生日くらい覚えときなよ。来月でしょ?」
「え?8月2日じゃなかった?」
「9月2日」
「そうだっけ?そうだったっけ?……じ、じゃあさ、母さんは?大樹の母ちゃんの誕生日は?」
「そんなの私が知ってるわけないじゃん」
「そっか……そうだよな」
健さんは急に深刻そうに何かを考え込んでしまう。
大きなため息をひとつそこに落として、友達はナナさんの後を追いかけるように急ぎ足でマックを出て行った。
「ナナさん達、行っちゃいましたよ?追いかけなくていいの?」
傷心の彼女、放っといていいの?
大樹先輩とのことも、何も解決しないままでいいの?
それでもしばらく黙っていた健さんは、やっと口を開いたかと思うと
「参考までに聞くけど」
と前置きをして、私の誕生日を聞いてきた。
私が答えると「マジか?」なんて、最大の間違いを犯してしまったような表情を見せる。
でも「いや、そんなはずは……」とすぐに首を振り。
「まぁ、なくもないか。なんで勇に聞いて思い出すんだよ?って思ったけど……そうか」と自分を納得させようとする。
「健さん、その予想大外れですよ」
あんまり考え込むものだから、仕方ない。私が答えを出してあげる。
さっき歌ってくれた曲のことでしょ?
『ハッピーバースデー』
やっぱり私の目に狂いはなくて、大樹先輩はそう呟いてたんだ。
それで、きっとその声は隣にいた健さんの耳に届いていたんだ。
歩き出した友達の手を再び掴んでひき止める健さんは、なぜかそんな質問をした。
「は?元カノの誕生日くらい覚えときなよ。来月でしょ?」
「え?8月2日じゃなかった?」
「9月2日」
「そうだっけ?そうだったっけ?……じ、じゃあさ、母さんは?大樹の母ちゃんの誕生日は?」
「そんなの私が知ってるわけないじゃん」
「そっか……そうだよな」
健さんは急に深刻そうに何かを考え込んでしまう。
大きなため息をひとつそこに落として、友達はナナさんの後を追いかけるように急ぎ足でマックを出て行った。
「ナナさん達、行っちゃいましたよ?追いかけなくていいの?」
傷心の彼女、放っといていいの?
大樹先輩とのことも、何も解決しないままでいいの?
それでもしばらく黙っていた健さんは、やっと口を開いたかと思うと
「参考までに聞くけど」
と前置きをして、私の誕生日を聞いてきた。
私が答えると「マジか?」なんて、最大の間違いを犯してしまったような表情を見せる。
でも「いや、そんなはずは……」とすぐに首を振り。
「まぁ、なくもないか。なんで勇に聞いて思い出すんだよ?って思ったけど……そうか」と自分を納得させようとする。
「健さん、その予想大外れですよ」
あんまり考え込むものだから、仕方ない。私が答えを出してあげる。
さっき歌ってくれた曲のことでしょ?
『ハッピーバースデー』
やっぱり私の目に狂いはなくて、大樹先輩はそう呟いてたんだ。
それで、きっとその声は隣にいた健さんの耳に届いていたんだ。