Bloom ─ブルーム─
両想いだと知った2人は後少しちゃんと話し合えればうまくいくはず。

なかなかほどけないミサンガ。

手こずっていると、健さんは私の手を止めて言った。

「バカだな。そういう顔を大樹に見せてやればいいのに」

気づくと、私の瞳からこぼれ落ちた涙が、しわくちゃのチラシに落ちていて。

ちょうどさっき書いた番号を滲ませていた。

「ちがっ、こ、これは……」

慌ててごしごし目元を拭うと

「コンタクトが、ずれて」

よくドラマで聞いたことのあるセリフを言ってみる。

「コンタクトしてるやつが、そんな風に目をこするかよ?」

そして、健さんはスーツの上着を脱ぐと、それを私の頭にバサッとかけた。

「泣きたい時は思う存分泣け」

健さんの上着に隠された私の顔。

上着の上から乗せられた健さんの手があんまり温かいから。

私は人前だと言うことを忘れて、そのまま子どものように泣きじゃくってしまった。

「チーズバーガー好きなの、もしかして知ってた?」

健さんは私が答えられる状態じゃないと知りながらそんなことを聞いて。

それから「ばっかだなぁ」って鼻で笑うように呟いていた。








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