Bloom ─ブルーム─
なんて小さいんだろう?
よくテレビCMとかで見る赤ちゃんとは別物だ。
しわくちゃで、小さいおじいちゃんみたい。
あ、女の子だったっけ。
でも、性別なんて関係ないと思わせるほどの命の尊さを感じる。
こんなに小さいのに爪だってシワだって、手相だってあるなんて。
こんなに小さいのに私と同じ心臓がここにあるんだ。
そっと手に触れると、細い指がキュッと動いて、私の添えた手を握り返してくれた。
「せ、先輩、握った。握ってくれた」
感動して、さっき言い合ったことも忘れて、思わず先輩を呼んでしまう。
でも、顔を上げてやっとその場の状況を把握した。
大樹先輩は複雑な表情のまま赤ちゃんを見下ろしてるだけで。
お母さんはそんな先輩を見つめて涙を流していた。
「来てくれるなんて、思わなかった」
そして「ごめんね」と、絞り出すようにお母さんの口からこぼれ落ちる謝罪。
大樹先輩は黙ったままだった。
「先輩、赤ちゃん、握り返してくれました」
「……」
「握り返して、くれるんですよ?」
「……」
しわくちゃの小さな小さな指の、どこにそんな力があるんだろう。
どうしていいかわからずに、赤ちゃんを見つめていると、先輩は私の指のとなりに自分の指を差し出してきた。
そして、赤ちゃんの手に触れる。
私が手を引っ込めると、先輩の指は、ギュッと赤ちゃんの手のひらの中に隠されてしまった。
よくテレビCMとかで見る赤ちゃんとは別物だ。
しわくちゃで、小さいおじいちゃんみたい。
あ、女の子だったっけ。
でも、性別なんて関係ないと思わせるほどの命の尊さを感じる。
こんなに小さいのに爪だってシワだって、手相だってあるなんて。
こんなに小さいのに私と同じ心臓がここにあるんだ。
そっと手に触れると、細い指がキュッと動いて、私の添えた手を握り返してくれた。
「せ、先輩、握った。握ってくれた」
感動して、さっき言い合ったことも忘れて、思わず先輩を呼んでしまう。
でも、顔を上げてやっとその場の状況を把握した。
大樹先輩は複雑な表情のまま赤ちゃんを見下ろしてるだけで。
お母さんはそんな先輩を見つめて涙を流していた。
「来てくれるなんて、思わなかった」
そして「ごめんね」と、絞り出すようにお母さんの口からこぼれ落ちる謝罪。
大樹先輩は黙ったままだった。
「先輩、赤ちゃん、握り返してくれました」
「……」
「握り返して、くれるんですよ?」
「……」
しわくちゃの小さな小さな指の、どこにそんな力があるんだろう。
どうしていいかわからずに、赤ちゃんを見つめていると、先輩は私の指のとなりに自分の指を差し出してきた。
そして、赤ちゃんの手に触れる。
私が手を引っ込めると、先輩の指は、ギュッと赤ちゃんの手のひらの中に隠されてしまった。