Bloom ─ブルーム─
山本先輩を傷つけた罪悪感からか、友里亜はまた瞳を潤ませる。

私は立ち上がると、窓に手をかけた。

「てか、暑くない?空気入れ換えないと気分滅入るだけだしさ、気分転換して、今までのことじゃなくて、これからのこと考えようよ」

鍵を開けて、窓を開く。

吹き込む風はぬるいけど、淀んだ空気が抜けていく感じがして気持ちいい。

友里亜を見て気づいた。

振る方も、振られる方と同じくらい辛いんだ。

大樹先輩のあの時の『ごめん』が、また聞こえた気がした。



「あれ?」

窓の外を見下ろすと、門の前に人影が見える。

それは、行ったり来たりを繰り返しながら、インターホンに指を近づけて躊躇っていた。

そして、ふと見上げて、窓から顔を出す私と視線をぶつけてひどく慌てた顔をする。

すぐに逃げようとして、でも立ち止まり振り返って迷う。

ダメだ、こりゃ。

「友里亜、私帰るわ」

「え?もう?」

突然の私の言葉に、友里亜はひどく驚いているけど、これ以上アイツを悩ませるのも可哀想だから。

「うん」

「あ、じゃあ、下まで送るよ」

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