Bloom ─ブルーム─
「だ、だって、直人が男の子の顔をするから」

「いや、男だし!」

「けど、ずっと兄妹みたいな感じで一緒にいたのに、急にそんな顔をされたらどうしていいかわかんなくなる。

杏奈ちゃんといるのを見たら苦しくなるし、寂しい時直人がいてくれたら安心するのに、そんな風に男の子の顔をされると……怖いんだもん」

そういうもんなんだろうか。

直人はそれを聞いて、深刻そうに何か考えてる。

そして、よし!と1人頷くと

「わかった。俺、女になる!」

なんて宣言した。

「いや、無理でしょ?」

私は突っ込んだけど

「無理でもなんでもやってやるよ」

本気らしい。

「だから、今日から俺を女だと思え!それで、女子会するぞ。ウインドーショッピングもするからな。んで、なんだ?

そうだ!井戸端会議だろ?」

女のしそうなことを思い付く限り口にする直人。

てか、井戸端会議って。主婦じゃないんだから。

でも、本当に本気?

キョトンとする友里亜に、直人は抱き締めそうになる手をぐっと堪えて言った。

「友里亜の隣で、一生女友達やってやるよ。だから、安心して……そばにいろ」

それは、もしかしたらどんな告白より深い、彼なりの『好き』なのかもしれない。

「わ、わかったか?」

でも言ってから照れてる直人。

友里亜はそっと手を伸ばすと、直人の指に触れた。

「……ばか」

やっぱり口からこぼれるのは、そんな言葉だったけど。
< 247 / 315 >

この作品をシェア

pagetop